ITSMとは
ITSM(アイティーエスエム)とは、「ITサービスマネジメント」の略で、会社の中にあるITサービスを、社員の皆さんがもっと快適に、そして効率的に使えるようにするための取り組み全般を指します。具体的には、パソコンが動かない、インターネットがつながらないといったトラブルに素早く対応したり、新しいシステムを導入する際にスムーズに進めたり、常にITサービスをより良くしていくための活動のことです。
例えるなら、ホテルがお客様に最高のサービスを提供するために、予約からチェックイン、滞在中のトラブル対応、清掃、そしてチェックアウトまで、あらゆる業務を計画的に管理し、改善していくようなものです。ITSMは、会社のIT部門が、社員という「お客様」に対して、ITという「サービス」を最高の品質で提供するための運営術と言えます。
なぜ今、話題なの?
近年、多くの会社でITが仕事に欠かせないものとなり、その重要性がますます高まっています。リモートワークの普及やデジタルトランスフォーメーション(DX [blocked])の推進により、社員が使うITサービスの種類も増え、複雑化しています。そのため、ITサービスが止まってしまったり、使いにくかったりすると、会社の業務全体に大きな影響が出てしまうようになりました。
ITSMは、このような状況の中で、ITサービスを安定して提供し、社員の生産性を落とさないために不可欠な考え方として注目されています。トラブルが起きる前に防いだり、問題が起きてもすぐに解決できる体制を整えたりすることで、会社全体の業務効率を高め、競争力を維持するために重要な役割を担っています。
どこで使われている?
ITSMの考え方やツールは、業種を問わず多くの企業で活用されています。例えば、日本の大手企業では、社員からのITに関する問い合わせやトラブル報告を一元的に管理するためにITSMツールを導入しています。
- トヨタ自動車では、グローバルなITインフラを効率的に運用するため、ITSMの考え方を活用し、世界中の拠点からの問い合わせ対応やシステム変更管理を標準化しています。
- ソフトバンクのような通信事業者では、膨大な数の顧客や社内ユーザーからのIT関連の問い合わせや障害対応を迅速に行うために、ITSMのプロセスとツールを使って、サービスの品質維持に努めています。
- 楽天グループでは、ECサイトや金融サービスなど多岐にわたるITサービスを安定稼働させるため、ITSMのフレームワークを取り入れ、サービス提供の効率化と品質向上を図っています。
これらの企業では、ITSMを活用することで、IT部門が単なる「修理屋さん」ではなく、会社のビジネスを支える重要なパートナーとして機能しています。
覚えておくポイント
ITSMはIT部門だけの話だと思われがちですが、一般のビジネスパーソンにとっても知っておくと役立つポイントがあります。
- ITトラブル時に役立つ視点: 会社でパソコンやシステムに問題が起きたとき、IT部門がどのようなプロセスで対応しているかを知っていると、問い合わせの際に状況を正確に伝えやすくなります。ITSMが導入されている会社では、問い合わせ窓口(サービスデスク)が一本化されていることが多いので、まずはそこに連絡するのがスムーズな解決への近道です。
- 業務改善のヒントに: ITSMは、ITサービスを常に改善していく考え方です。これはITに限らず、日々の業務改善にも通じる考え方です。自分の仕事で「もっとこうなったら便利なのに」と感じることがあれば、IT部門に具体的な改善案として伝えることで、会社全体のITサービス向上に貢献できるかもしれません。
- 新しいITサービス導入時: 新しいシステムやツールが導入される際、ITSMの考え方に基づいている会社では、利用者がスムーズに使えるように、使い方研修やサポート体制が整えられていることが多いです。積極的に活用して、自身の業務効率アップにつなげましょう。