BCGマトリクスとは
BCGマトリクスは、会社が展開しているたくさんの事業を、今後の成長が見込めるか(市場成長率)と、その市場でどれくらいの強さを持っているか(相対的市場シェア)という2つの視点から評価する考え方です。この考え方を使うと、会社にとってどの事業が重要で、どれに力を入れるべきか、あるいはやめるべきかを客観的に判断できます。
例えるなら、会社が持っている事業を「家庭菜園の作物」に例えると分かりやすいかもしれません。たくさん実がなっていて、これからもどんどん成長しそうな「花形」の作物には、もっと肥料や水をあげて大きく育てたいですよね。一方で、あまり実がならず、今後も成長が見込めない「負け犬」の作物には、それ以上手間をかけずに、別の作物を植えることを考えるかもしれません。BCGマトリクスは、このように事業を4つのタイプに分けて、それぞれに合った戦略を立てる手助けをしてくれます。
なぜ今、話題なの?
現代のビジネス環境は変化が激しく、新しい技術やサービスが次々と登場しています。このような状況で、会社が限られた資源(人、お金、時間など)をどこに集中させるべきか、どの事業を伸ばし、どの事業から撤退すべきかを判断することは非常に重要です。BCGマトリクスは、そうした経営判断の基準を明確にするツールとして、改めて注目されています。
特に、デジタル化の進展により、既存の事業が陳腐化するスピードが速まっています。例えば、かつては主力だった事業が、新しいテクノロジーの登場で急に「負け犬」になってしまうこともあります。そのため、企業は常に事業ポートフォリオ(事業の組み合わせ)を見直し、成長が見込める分野に積極的に投資していく必要があります。BCGマトリクスは、そうした事業の「健康診断」のような役割を果たし、未来に向けた戦略を立てる上で役立つため、多くの企業で活用されています。
どこで使われている?
BCGマトリクスは、世界中の多くの企業で事業戦略を考える際に活用されています。特定の企業が「BCGマトリクスを使っています」と公言することはあまりありませんが、その考え方は様々な企業の事業再編や投資判断の背景に見られます。
例えば、日本の大手電機メーカーが、かつては主力だった家電事業から撤退し、代わりにBtoB(企業向け)ソリューション事業や医療機器事業に注力するといった戦略は、まさにBCGマトリクスの考え方に基づいていると言えます。成長が鈍化した市場の事業(負け犬や問題児)から撤退し、成長市場で高いシェアを持つ事業(花形)や、安定した収益を生む事業(金のなる木)に資源を集中させることで、企業全体の競争力を高めようとしているのです。
また、ソフトバンクグループが、通信事業で得た安定的な収益(金のなる木)を元手に、将来性のあるテクノロジー企業(問題児や花形)に積極的に投資しているのも、BCGマトリクスの考え方と通じるものがあります。
覚えておくポイント
- 事業の優先順位付けに役立つ: 自分の会社や部署が抱える複数のプロジェクトやサービスについて、「これは成長性があるか?」「自分たちは市場で強いか?」という視点で考えてみましょう。そうすることで、限られた時間や予算をどこに使うべきか、優先順位をつけやすくなります。
- 未来を見据えた判断のヒントになる: 今は儲かっていても、将来的に成長が見込めない事業やサービスは「金のなる木」かもしれません。一方で、まだ利益は出ていなくても、将来大きく成長する可能性を秘めた「問題児」のような事業もあるでしょう。BCGマトリクスの考え方を取り入れることで、目の前の数字だけでなく、長期的な視点での戦略を考えるヒントが得られます。
- チーム内での共通認識作りに活用: チームや部署内で、自分たちの事業やプロジェクトの位置づけについて話し合う際に、BCGマトリクスのフレームワークを使うと、共通の認識を持ちやすくなります。それぞれの事業が今どんな状況にあるのかを分かりやすく共有でき、今後の方向性を議論する土台になります。